結論

他人から委託を受けて産業廃棄物を収集・運搬する営業には、運搬を行う区域(積込み・積卸しの場所)を管轄する都道府県知事(政令市長)の許可が必要です(廃棄物処理法第14条)。

許可の基準は、大きく①講習会の修了(知識・技能)、②経理的基礎、③運搬施設(車両・容器)、④欠格要件に当たらないことの4つです。大阪府の場合、新規の申請手数料は81,000円、標準処理期間は60日です。

許可が必要な場合・不要な場合

場合許可
他人から委託を受けて、産業廃棄物を収集または運搬する(営業として行う)必要(積込み・積卸しを行う区域を管轄する自治体)
自ら運搬する事業者など、法律のただし書きで除かれている場合不要(ただし判断が難しいケースがあります)
建設工事で出た産業廃棄物の運搬を、下請業者などに委託する(元請の立場)委託する先が許可を持つ収集運搬業者である必要があります

許可は、業務を行おうとする区域(産業廃棄物を積み込む場所、積み下ろす場所)を管轄する都道府県知事等ごとに必要です(京都府の手引き)。「政令市内で積替え・保管を行う場合」または「政令市内でのみ業務を行う場合」は、政令市長の許可になります。このため、複数の府県にまたがって運ぶ場合は、それぞれの府県の許可が必要になります。

許可には、「積替え・保管を含まない」ものと「含む」ものがあり、扱う産業廃棄物の種類も許可の範囲として定められます。範囲を変える場合は、変更許可の申請が必要です。特別管理産業廃棄物(感染性廃棄物など)の収集運搬は、別の許可になります。

許可の4つの要件

要件内容主に確認されるもの
①知識・技能収集運搬業を的確に行える知識・技能があること。JWセンターの講習会(収集運搬課程)を修了していること。講習会の修了証
②経理的基礎業務を的確に、かつ継続して行える経理的基礎があること。決算書、納税証明書、資金計画など
③施設産業廃棄物が飛散・流出せず、悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬容器などを有していること。自動車検査証、車両の写真、駐車場の使用権限を示す書類など
④欠格要件廃棄物処理法に定める欠格要件に当たらないこと。法人は役員や政令で定める使用人も対象です。誓約書、住民票、登記されていないことの証明書など(自治体により異なる)

根拠は、廃棄物処理法第14条第5項と、同法施行規則第10条です。許可を受けた後でも、欠格要件に当たると許可が取り消されることがあります。

講習会(知識・技能の要件)

許可の新規申請では、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)の「産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会」の収集運搬課程の修了証が必要です。

項目内容
受講する人法人:代表者、業務を行う役員(監査役を除く)、政令で定める使用人のいずれか。個人:申請者本人または政令で定める使用人
受講料(税込)オンライン形式 27,500円、対面形式 33,000円
時間オンライン形式は、全5科目で約12時間の講義を視聴し、会場で試験を受けます
修了証の有効期間新規許可講習会は修了日から5年(京都府の手引き)。新規の許可申請は、申請日が有効期間内であることが必要です
申込みJWセンターのWebから申込み。顔写真データが必要です。定員になり次第締め切られます

受講料・日程は、JWセンターの案内(2026年10月20日確認)によるものです。変更されることがあるため、受講の際は最新の案内をご確認ください。

経理的基礎

京都府の手引きでは、経理的基礎は、次のような点から判断されるとされています。自治体により具体的な基準が異なります。

  • 事業計画が、法の規定に沿った適切なものであり、必要な設備・機材の整備資金が妥当である
  • 事業の開始に必要な資金の調達に確実性がある
  • 資金の借入れを行う場合は、事業収支計画が実行可能な返済を見込んだものである
  • 決算状況、資産状況、法人税・所得税の申告納付状況から、事業の継続性と借入金の返済の可能性がある(利益を計上している、債務超過でないことなど)

決算書の内容によっては、追加の書類(経営状況に関する書類など)を求められることがあります。債務超過の場合などは、事前に確認します。

施設(運搬車両・容器)

  • 産業廃棄物が飛散・流出せず、悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬容器などを有すること。
  • 運搬車両は、使用権のあるものである必要があります。名義貸し・再委託に当たる形(従業員でない者に運転させるなど)は、原則として認められません。
  • 汚泥・燃え殻など粉末・泥状のものを直接積載するのが不適当な車両で運ぶ場合は、オープンドラムやフレコン袋などの収納容器に入れて積載します。液状のものはポリタンクなどに入れます。
  • 荷台に側板などを付けて積載能力以上の積載が行われるおそれのある車両や、違法な改造のある車両は、不適格な運搬施設とされます。

自動車検査証が電子車検証の場合の提出書類の取り扱いなど、書類の細かな点は自治体により異なります。大阪府の案内は大阪府の産業廃棄物収集運搬業許可の解説で整理しています。

欠格要件

申請者が、次のいずれかに当たると許可を受けられません(京都府の手引きより要約。条文は廃棄物処理法第7条第5項第4号、第14条第5項第2号)。

  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない者
  • 禁錮以上の刑に処せられ、執行を終わるなどした日から5年を経過しない者
  • 廃棄物処理法等の法令違反や暴力行為等で罰金刑に処せられ、5年を経過しない者
  • 許可を取り消されて5年を経過しない者
  • 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  • 法人の役員や政令で定める使用人に、上記のいずれかに当たる者がいる法人

役員全員が確認の対象になる点に注意が必要です。事前に、役員の経歴を確認しておきます。

申請の流れと期間

  1. 事業の内容を決める:取り扱う産業廃棄物の種類、運搬する区域(積込み・積卸しの自治体)、使用する車両を整理します。
  2. 講習会を受講する:JWセンターのWebで申込み、受講して修了証を受け取ります。
  3. 車両・駐車場・事務所の準備:使用権のある車両、駐車場、事務所の使用権限を確認します。
  4. 書類を集める:登記事項証明書、定款、決算書、納税証明書、車両の書類、修了証などを集めます(自治体により異なります)。
  5. 申請・手数料の納付:申請先の窓口で申請します。大阪府では、窓口の受付のほか、任意の事前審査を郵送や電子申請で受けられます。
  6. 審査・許可証の交付:大阪府(積替え・保管を含まない)の標準処理期間は60日です。
  7. 許可後の運用:処理基準、委託基準、マニフェスト、帳簿の記載・保存などを守ります。

費用の考え方

費用目安・確認先
申請手数料(大阪府)新規81,000円(産業廃棄物収集運搬業、特別管理産業廃棄物収集運搬業とも)。受付後は返金されません
講習会受講料オンライン形式27,500円、対面形式33,000円(JWセンター、税込)
書類の取得費用登記事項証明書、納税証明書などの実費
行政書士報酬運搬する区域(府県数)や扱う廃棄物の種類、書類の準備状況によって異なります。ご相談の際にお見積りをご案内します

複数の府県の許可を同時に取る場合は、府県ごとに手数料がかかります。関西の複数府県をまとめて検討する場合は、関西2府4県の許可と同時申請もご覧ください。

準備チェックリスト

  • 運搬する産業廃棄物の種類と、積込み・積卸しを行う自治体を決めている
  • 代表者、役員または政令で定める使用人が、講習会を修了している(または受講の予定を決めている)
  • 使用権のある運搬車両があり、飛散・流出・悪臭を防げる状態である
  • 駐車場や事務所の使用権限を、書類で示せる
  • 直近の決算の状況が、経理的基礎の観点から確認できている
  • 役員全員が、欠格要件に当たらない
  • 申請する自治体の最新の手引き・手数料を確認している

よくある質問

自社で出た産業廃棄物を、自社の車で運ぶ場合も許可は必要ですか?

廃棄物処理法第14条第1項は、産業廃棄物の収集または運搬を業として行う者に許可を求めていますが、自ら運搬する事業者などは、ただし書きで除かれています。他人から委託を受けて運ぶ場合は許可が必要です。自社の廃棄物かどうか、委託関係があるかによって異なるため、判断に迷うときは事前に確認します。

建設工事で出る廃棄物を、下請業者に運んでもらうことはできますか?

建設工事で出る産業廃棄物は、元請負人に処理責任があり、運搬を下請負人などに委託する場合は、廃棄物処理法上の許可を受けた収集運搬業者に委託しなければなりません(大阪府の建設業許可の手引き)。無許可の運搬があった場合は、元請負人も責任を負うことになります。

講習会は、誰が受ければよいですか?

法人の場合は、代表者、業務を行う役員(監査役を除く)、または政令で定める使用人のいずれかが、個人事業の場合は、申請者本人または政令で定める使用人が、JWセンターの講習会(収集運搬課程)を修了している必要があります(京都府の手引き)。

車を1台も持っていなくても、申請できますか?

申請には、使用権のある運搬車両などの運搬施設を有していることが求められます。京都府の手引きでは、運搬車両は自己の事業に供されるものであることから、使用権があることが求められ、他者から車両を借りて申請者の従業員でない者に運転させる場合などは、名義貸しや再委託に当たる可能性があるため、原則として認められないとされています。

申請してから許可が出るまで、どのくらいかかりますか?

大阪府(積替え・保管を含まない収集運搬業)の標準処理期間は、60日です。ほかの府県では、標準処理期間が異なります(たとえば滋賀県の審査基準整理票は21日、和歌山県は42日(土日祝を除く)とされています)。講習会の受講や書類の準備にも時間がかかるため、事業開始の予定から逆算して早めに動くことが大切です。

出典:廃棄物の処理及び清掃に関する法律(e-Gov法令検索)(第14条)、大阪府「産業廃棄物処理業(積替え・保管を含まない収集運搬業)の許可申請手続き」、京都府「(特別管理)産業廃棄物収集運搬業(積替え又は保管を含まない)の許可申請について(手引)」(令和6年1月改定)、JWセンター「処理業(新規)講習会」。2026年10月20日に確認した内容です。手数料・処理期間・提出書類は、自治体や年度により変わることがあります。

※本記事は産業廃棄物収集運搬業許可に関する一般的な情報を目的としたものです。要件や手続きは、運搬する区域や扱う廃棄物の種類、申請先の自治体により異なります。申請の際は、必ず各自治体の最新の案内をご確認ください。

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