行政書士と専任宅建士の兼業は、条件がそろえば認められる余地があります。ただし、大阪府の手引では、認められるのは「同一建物内で常時勤務し、行政書士業などが個人事業で、自由に業務時間を調整できる状態にあり、宅建業の営業時間中は宅建業に専任できる場合」に限られています。それ以外は認められません。

「行政書士だから兼業できる」「行政書士だからできない」と一律に決まるものではなく、事業の形態と働き方が見られます。この記事では、大阪府の手引と申立書の記載に沿って整理します。

前提:専任宅建士は「常勤・専従」

専任宅建士は、事務所に常勤し、宅建業に専ら従事する人です。他の法人の役員・従業員との兼務は認められません(専任宅建士の人数・専任性・兼業を参照)。行政書士業との兼業は、この原則に対する例外的な扱いです。

大阪府が示している兼業の判断基準

大阪府の手引には、兼業の可否を示す判断表があります。行政書士などの自由業との兼業については、次のとおりです。

  • 認められる(○):同一建物内で常時勤務し、かつ、行政書士業などが個人事業(自由裁量で業務時間を調整できる状態)で、宅建業の営業時間中は宅建業に専任できる場合
  • 認められない(×):上記以外

条件は「同一建物内」「個人事業」「営業時間中は宅建業に専任できる」の3つです。

申立書とは何か

自由業を兼業する場合は、大阪府の指定様式の「専任の宅地建物取引士の自由業兼業に関する申立書」を提出します。通常の誓約書に代えて提出するもので、新規免許申請、更新、専任宅建士の変更届のときが対象です。

申立書の主な内容と注意点は次のとおりです。

  • 専任宅建士本人が自署する
  • 宅建業に従事している時間中は、自由業の営業を行わない、といった、自由裁量により専任性に支障がないことを記載する
  • 注記に、行政書士法人など、申請者以外の法人に雇用されている場合は、専任宅建士として認められない、と書かれている

認められないケース

大阪府の資料から、次のような場合は認められない、または認められにくいと読み取れます。

  • 行政書士法人など、申請者以外の法人に雇用されている場合(申立書の注記)
  • 行政書士業を、宅建業の事務所とは別の場所で行っている場合(判断表の「同一建物内」の条件を満たさない)
  • 宅建業の営業時間中に、行政書士の業務を行う必要がある場合(「宅建業の営業時間中は宅建業に専任できる」の条件を満たさない)

国土交通省の解釈との関係

国土交通省の「解釈・運用の考え方」は、個人の宅建業者が、同一の場所で行政書士などの業務を営んでいる場合は、業務量を斟酌して認められるものを除き、専任性が認められない、という趣旨を示しています。「業務量を見て認められる余地はあるが、原則は認められない」という位置づけです。大阪府の判断表も、この考え方に沿った整理だと読めます。

法人・個人・同一建物での考え方

公式資料から確認できる範囲での整理です。

場面確認できること
個人事業として行政書士業を営みつつ、同じ建物内の宅建業の専任宅建士になる場合手引の判断表が想定する形。申立書を提出
行政書士法人に所属している場合申立書の注記により不可
別の建物で行政書士業を営んでいる場合判断表の条件(同一建物内)を満たさない
申請者本人(代表者)が行政書士を兼ねる場合国土交通省の解釈に、業務量を斟酌して判断する旨の記載あり。大阪府の詳細な扱いは公式資料で確認できていない

事前に確認しておきたいこと

兼業の可否は、個別の状況(事務所の場所、営業時間、行政書士業の業務量など)で判断が分かれます。次の点を整理したうえで、大阪府に事前に確認するのが確実です。

  1. 行政書士事務所と、宅建業の事務所が同一建物内か
  2. 行政書士業は個人事業か、法人に所属しているか
  3. 宅建業の営業時間中に、行政書士としての業務が必要になるか
  4. 宅建業の営業時間と、行政書士業の業務時間の実際の割り振り

まとめ

大阪府の手引では、行政書士との兼業は、同一建物内・個人事業・宅建業の営業時間中の専任、の3つがそろう場合に限って認められます。行政書士法人に所属する場合や、別の場所で営む場合は認められません。

兼業を前提に開業を考えている場合は、事務所の場所と働き方を先に決めてしまうと、後から専任性が認められないおそれがあります。申請前の整理は、NEO行政書士事務所にご相談ください。ほかの兼務パターンは専任宅建士が認められないケースで整理します。

兼業の可否を確認したうえで開業する場合の免許申請の流れは、宅建業免許の新規申請について詳しくはこちら。宅建業の手続き全体は宅建業の総合ガイドをご覧ください。

※本記事は宅建業免許制度に関する一般的な情報を目的としたものです。要件・必要書類・費用・運用は変更されることがあり、個別の状況によっても異なります。申請の際は、必ず大阪府(所轄行政庁)や各保証協会の最新の案内をご確認ください。

宅建業免許のご相談は、無料でお受けしています

状況に合わせて、必要な手続きや進め方を整理します。

無料相談はこちら 電話で相談 080-6169-0747
← ジャーナル一覧へ戻る