不動産会社を新しく開業するには、宅地建物取引業(宅建業)免許の新規取得が欠かせません。免許の要件を正しく理解しないまま準備を進めると、申請が受理されなかったり、開業予定日に間に合わなかったりするケースがあります。このページでは、大阪府内で宅建業免許を新規に取得する際に必要な要件・書類・費用・スケジュールを、行政書士の視点から網羅的に解説します。
宅建業免許とは
宅建業の定義と、知事免許・大臣免許の違い
宅地建物取引業(宅建業)とは、宅地や建物の売買・交換・貸借の代理や媒介を、不特定多数の相手に反復継続して行う事業のことです。この事業を営むには、宅地建物取引業法に基づく免許を取得する必要があります。免許には、1つの都道府県内にのみ事務所を設ける場合の「知事免許」と、2つ以上の都道府県に事務所を設ける場合の「大臣免許」があります。大阪府内のみで開業する場合は、大阪府知事免許の取得が対象となります。このページでは新規開業時の要件・費用・流れを解説しますが、免許取得後の更新・変更届もあわせて知りたい方は宅建業免許の総合ガイドをご覧ください。
新規申請に必要な5つの要件
宅建業免許の新規申請では、主に次の5つの要件を満たしている必要があります。
事務所としての独立性
自宅兼用・他社との同居の扱い
宅建業の事務所は、継続的に業務を行うことができ、他社や住居部分から独立している施設であることが求められます。大阪府の案内では、マンションなど区分所有建物の一室を自宅と兼ねて使う場合は原則として認められず、管理規約で事務所としての使用が認められ、かつ住居部分と区別されて独立性が保たれている場合に限り、認められることがあります。他社と部屋を共同で使う場合も、床面から高さ170cm以上の固定式パーテーション等で仕切られ、他の事務所部分を通らずに直接入れることが条件とされています。詳しくは宅建業免許の事務所要件で解説しています。自宅を事務所にできるかは自宅を宅建業の事務所にできるか、レンタルオフィス・シェアオフィスはレンタルオフィスで宅建業免許は取得できるかもあわせてご覧ください。
専任の宅地建物取引士の設置
5名に1名以上。他社勤務・兼務は認められない
事務所には、業務に従事する者5名につき1名以上の割合で、専任の宅地建物取引士を置く必要があります。専任性が認められるには常勤性が求められるため、他の会社に勤務している方や、他の事務所の専任者を兼務している方は専任として認められません。開業前に、専任者となる方の宅地建物取引士としての登録状況(勤務先の変更登録が済んでいるか)を確認しておくことが重要です。詳しくは専任の宅地建物取引士とはで解説しています。行政書士など他の仕事と兼ねる場合は行政書士をしながら専任宅建士になれるか、専任として認められないケースは専任宅建士が認められないケースで整理しています。
欠格要件に該当しないこと
役員全員・政令使用人の確認が必要
申請者本人(法人の場合は役員全員および政令使用人)が、一定の刑罰を受けてから5年を経過していない場合や、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない場合など、免許を受けられない「欠格要件」に該当していないことが必要です。法人の場合は役員全員分の確認が必要になるため、開業を検討し始めた段階で早めに確認しておくと安心です。該当する場合の考え方は宅建業免許の欠格要件で解説しています。
保証協会への加入、または営業保証金の供託
営業保証金1,000万円か、保証協会への加入
宅建業を開業するには、法務局へ営業保証金を供託するか、宅地建物取引業保証協会(全国宅地建物取引業保証協会または不動産保証協会)に加入して弁済業務保証金分担金を納付する必要があります。営業保証金は主たる事務所で1,000万円、従たる事務所ごとに500万円と高額になるため、多くの事業者様は保証協会への加入を選択されています。保証協会に加入する場合も、加入審査には一定の期間がかかるため、免許申請と並行して早めに準備を進める必要があります。
財産的基礎・資金計画
申請に資本金要件はない。加入審査で資金計画を確認
免許申請自体に直接的な資本金要件はありませんが、保証協会への加入審査においては事業の継続性や資金計画が確認されます。開業当初の運転資金や保証協会への納付金を含めた資金計画を事前に整理しておくことをおすすめします。
申請から免許交付までの流れ
事前相談から営業開始までの7つのステップ
大阪府知事免許の新規申請は、おおむね次の流れで進みます。
- ① 事前相談・要件診断(事務所要件、専任者の要件を確認)
- ② 申請書類の作成・収集(登記事項証明書、身分証明書、専任の宅地建物取引士の資格証明等)
- ③ 大阪府への免許申請書提出
- ④ 審査(大阪府の標準処理期間は申請受付後約5週間)
- ⑤ 免許通知(免許番号の交付)
- ⑥ 営業保証金の供託、または保証協会への加入(分担金の納付など)と、大阪府への届出(免許の日から3か月以内。届出前は営業できません)
- ⑦ 免許証の受け取り、宅地建物取引業者票・報酬額表の掲示、営業開始
免許の標準処理期間は申請受付後約5週間です。ただし営業を開始するには、免許交付後に営業保証金の供託または保証協会への加入を済ませ、その旨を届け出る必要があります。保証協会の入会手続きにも別途期間がかかるため、開業希望日から逆算して、余裕を持ったスケジュールで準備を始めることが重要です。営業保証金と保証協会の違いはこちらで解説しています。行政書士に依頼できる代理の範囲については宅建業免許申請(代理手続き)で詳しく解説しています。審査期間の内訳は申請から免許取得までの期間、電子申請の使い方は宅建業免許のオンライン申請をご覧ください。
必要書類の主な例
申請書・経歴書・登記事項証明書・事務所の書類など
申請にあたっては、主に以下のような書類が必要になります(法人・個人、事務所の形態により異なります)。書類ごとの詳細は宅建業免許の新規申請で必要な書類、不備や補正を防ぐ確認点は書類の不備・補正を防ぐポイントで解説しています。
- 免許申請書(法定様式)
- 宅地建物取引業経歴書
- 専任の宅地建物取引士の設置等に係る誓約書、宅地建物取引士証の写し、常勤性・専従性を確認する資料
- 誓約書(欠格要件に該当しないことの誓約)
- 略歴書(法人の場合は役員全員分)
- 登記事項証明書(法人の場合)
- 身分証明書・登記されていないことの証明書(専任の宅地建物取引士については、令和6年5月25日以降不要。その他の方の要否は申請先の最新の案内で確認します)
- 事務所の使用権原を証する書面(賃貸借契約書の写し等)
- 事務所の写真・案内図
費用の内訳(目安)
行政手数料・保証協会の費用・行政書士報酬
宅建業免許の新規取得にかかる費用は、大きく分けて次の3つです。
- 行政手数料:知事免許は申請手数料33,000円(大臣免許は登録免許税90,000円)
- 保証協会への入会金・弁済業務保証金分担金:加入する保証協会や事務所数により異なりますが、100万円台が目安です(営業保証金を供託する場合は主たる事務所で1,000万円)
- 行政書士報酬:当事務所の場合88,000円〜(案件の複雑さにより変動する場合は事前にお見積りいたします)
新規申請でつまずきやすいポイント
専任者の登録、事務所の独立性、法人成りの順序など
実務上、以下のような点でつまずくケースが多く見られます。
- 専任の宅地建物取引士の勤務先変更登録が完了しておらず、専任性が認められない
- 事務所の独立性(他の部屋との行き来がないか等)の要件を満たしておらず、追加の工事や間取り変更が必要になる
- 保証協会の加入審査に想定より時間がかかり、開業予定日に間に合わない
- 法人成りを予定しているにもかかわらず、個人で先に免許を取得してしまい、法人設立後に免許を取り直す必要が生じる(宅建業免許は個人から法人へ承継できません)
これらは、申請前の要件診断を丁寧に行うことで、多くの場合事前に回避できます。法人と個人のどちらで申請するかは宅建業免許は法人と個人どちらで取るか、法人設立との順番は法人設立と宅建業免許の準備の順番で整理しています。
当事務所のサポート内容
事前診断から申請書類の作成、保証協会加入のご案内まで
NEO行政書士事務所では、事務所要件・専任者要件の事前診断から、申請書類一式の作成、保証協会加入手続きのご案内まで、宅建業免許の新規取得をワンストップでサポートしています。開業スケジュールから逆算した最短ルートをご提案し、法人成りを予定している場合の免許取得順序についてもあわせてご相談いただけます。依頼した場合の違いは宅建業免許を行政書士に依頼するメリット、開業準備の進め方は大阪府で宅建業を始めるときの準備や免許を取る前に確認したい10項目で整理しています。免許取得後の更新・変更届などは宅建業の総合ガイドにまとめています。
よくある質問
宅建業免許の新規申請から交付までどれくらいかかりますか?
大阪府知事免許の場合、申請受付後の標準処理期間は約5週間とされています(大阪府の案内による)。免許交付後は、営業保証金の供託または保証協会への加入を済ませて届け出なければ営業を開始できないため、開業希望日から逆算して申請時期を決めることが重要です。
宅建業免許の新規申請にかかる費用はどのくらいですか?
行政手数料(知事免許は申請手数料3万3千円、大臣免許は登録免許税9万円)、保証協会への入会金等と弁済業務保証金分担金(分担金は主たる事務所60万円、従たる事務所は1か所につき30万円)、行政書士報酬(当事務所の場合88,000円〜)が主な内訳です。営業保証金を法務局に供託する場合は主たる事務所で1,000万円が必要になるため、多くの事業者様は保証協会への加入を選択されています。
個人事業主でも宅建業免許は取得できますか?
はい、個人でも法人でも取得可能です。ただし専任の宅地建物取引士の設置など要件は法人と同じです。将来的に法人化を予定している場合は、免許の承継はできないため、法人化のタイミングと免許取得の順序について事前にご相談いただくことをおすすめします。
自宅を事務所として宅建業免許を取得できますか?
大阪府の案内では、マンションなど区分所有建物の一室を自宅と兼ねて使う場合は原則として認められません。ただし、管理規約で事務所としての使用が認められ、かつ住居部分と区別されて独立性が保たれている場合には、認められることがあります。一戸建ての場合などを含め、個別の状況で判断が分かれるため、契約前にご相談ください。
宅建業免許の新規申請は、まずは無料相談から
事務所要件・専任者要件を満たせるかどうかの診断から、保証協会加入までの流れを一括でサポートします。
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