宅建業免許は、法人でも個人でも申請できます(大阪府の手引)。どちらが有利かを一律に言うことはできません。ただし、後から法人にする場合に、免許をそのまま引き継げないことは、最初に知っておく必要があります。

法人と個人で変わらないこと

  • 免許の種類(知事免許・大臣免許)と、審査期間(標準5週間)は同じです。
  • 事務所の要件、専任宅建士の設置、欠格要件の基準は、法人と個人で共通です。
  • 免許を受けたあとの保証金(営業保証金または保証協会への加入)の手続きも共通です。

申請書類の違い

大阪府の案内に基づく違いは次のとおりです。

法人個人
登記・住民票履歴事項全部証明書住民票の抄本(マイナンバーの記載がないもの)
財務貸借対照表・損益計算書(新設で決算前なら開始貸借対照表)資産の状況を示す書面
株主・相談役等相談役・顧問、議決権100分の5以上を持つ株主の一覧なし
身分証明書等が必要な人役員(監査役を含む)、相談役・顧問、政令使用人代表者、政令使用人

必要書類の全体は必要書類の記事を参照してください。

免許の承継・相続はできない

大阪府のよくあるお問い合わせには、次の記載があります。

  • 個人の免許は、相続の対象にならない
  • 免許の譲渡はできない(法人の免許も同じ)

たとえば、個人で開業して、後から法人を設立しても、個人の免許を法人が引き継ぐことはできません。

個人から法人にするとき

個人の免許を、法人が引き継ぐことはできません。個人から法人に切り替える場合は、法人として免許を取り直す(新規に申請する)ことになり、免許番号も新しくなります。個人免許の営業保証金も、法人では使えません。

大阪府のよくあるお問い合わせ(Q40)には、法人成りの場合の取扱いとして、次の条件を満たすときに、個人免許が有効なうちに、法人の新規申請を受け付けるという案内があります。

  • 法人の設立から6か月以内であること
  • 個人免許の代表者と、法人の代表者が同一人であること
  • 個人免許と法人の専任宅建士が同一人であること
  • 事務所の所在地が同一であること
  • 個人免許の有効期限が、法人の申請後4か月以上残っていること

この取扱いは、免許を引き継ぐものではなく、取り直しの手続きを切れ目なく進めるためのものと読めます。法人の申請に不備があって補正が遅れ、その間に個人免許の有効期間が満了すると、免許が失効する旨も書かれています。法人成りのあとは、個人の免許について、廃業等の届出が必要になります。

保証金の扱い

大阪府のよくあるお問い合わせには、個人で供託した営業保証金を、法人で使うことはできない旨の記載があります。個人で営業保証金を供託していた場合、法人成りのあと、法人として改めて保証金の手続きが必要になると考えられます。個人の営業保証金を取り戻す手続きと、法人の保証金の手続きを、どの順番で進めるかは、資金計画に影響します。

判断のための整理

公式資料から確認できる事実をもとにした、考え方の整理です。

  • 個人で始めて、将来法人にする予定がある場合:法人にするときは免許の取り直しになり、免許番号も変わり、保証金も手続きし直す。個人免許の有効期間との重なりを見ながら、時期を決める。
  • 最初から法人で始める場合:法人の設立登記が必要になり、書類も法人向けのものが必要になる(履歴事項全部証明書、決算書または開始貸借対照表など)。
  • すでに法人がある場合:定款の事業目的、本店所在地、役員などを確認する(法人設立と免許の順番を参照)。

法人のほうが信用が高い、個人のほうが手間が少ない、といった一般論は、大阪府の資料には出てきません。事業の規模、取引先の要望、税金や社会保険の扱い(行政書士の業務範囲外の分野もあります)まで含めて、判断が必要です。

まとめ

法人でも個人でも申請できますが、個人免許は承継・相続ができず、法人成りは特例の要件を満たす場合に新規申請として扱われます。「どちらが良いか」は、開業後の事業計画次第です。

どちらで始めるか迷っている場合は、NEO行政書士事務所にご相談ください。事務所や専任宅建士の状況を含めて、免許の取得の面から整理します。変更が生じたときの手続きは変更届の記事で扱います。

法人・個人のどちらで申請する場合でも、要件・必要書類・費用・流れは宅建業免許(新規)の申請完全ガイドで解説しています。宅建業の手続き全体は宅建業の総合ガイドにまとめています。

※本記事は宅建業免許制度に関する一般的な情報を目的としたものです。要件・必要書類・費用・運用は変更されることがあり、個別の状況によっても異なります。申請の際は、必ず大阪府(所轄行政庁)や各保証協会の最新の案内をご確認ください。

宅建業免許のご相談は、無料でお受けしています

状況に合わせて、必要な手続きや進め方を整理します。

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