宅建業を開業するには、免許を取るだけでなく、営業保証金の供託か保証協会への加入が必要です。前者は本店で1,000万円、後者の分担金は本店で60万円と、開業時の資金負担に大きな差があります。このページでは、2つの制度の違いと、大阪の保証協会の入会費用の例、どちらを選ぶかの考え方をまとめます。
営業保証金と保証協会とは
不動産の取引では、取引の相手方が、宅建業者の債務不履行によって損害を受けるおそれがあります。その損害を補填するために用意されているのが、営業保証金の供託、または保証協会への加入という制度です。免許を取得した後は、営業保証金を供託するか、保証協会に加入するかのいずれかを済ませ、その旨を届け出なければ、営業を開始することができません(大阪府の案内による)。
費用の2つの区分
開業の費用は、免許を申請するための費用と、営業を始めるための費用に分けて考えると分かりやすくなります。
- 免許の申請にかかる費用:大阪府への申請手数料(書面申請33,000円。電子申請は26,500円)。行政書士に依頼する場合は、別途報酬がかかります。
- 営業を始めるための費用:営業保証金の供託、または保証協会への加入に必要な費用(次の項目)
営業保証金を供託する場合
主たる事務所(本店)の最寄りの供託所(法務局)に、一定額を供託します。金額は、主たる事務所で1,000万円、従たる事務所(支店)は1か所につき500万円です。金銭のほか、有価証券でも充てることができます。国債は額面どおり、地方債や政府保証債は額面の93%、その他の有価証券は額面の80%で評価されます。供託した営業保証金は、廃業などの場合に取り戻すことができます。
保証協会に加入する場合
保証協会に入会し、弁済業務保証金分担金を協会へ納付します。金額は、主たる事務所で60万円、従たる事務所は1か所につき30万円です。分担金は金銭で納付します。分担金のほかに、入会金や年会費など、協会所定の費用が別途かかります。保証協会は、公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会と、公益社団法人不動産保証協会の2つがあります。
2つの制度の比較
| 営業保証金 | 保証協会に加入 | |
|---|---|---|
| 納付先 | 法務局(供託所) | 保証協会 |
| 主たる事務所 | 1,000万円 | 60万円(分担金) |
| 従たる事務所(1か所) | 500万円 | 30万円(分担金) |
| そのほかの費用 | 原則、供託金のみ | 入会金・年会費など協会所定の費用 |
| 有価証券の利用 | できる(評価割合あり) | 分担金は金銭のみ |
大阪の保証協会の入会費用の例
大阪府では、2つの保証協会それぞれの大阪本部が、入会費用を公開しています。どちらも、保証協会の費用に、母体となる業界団体(大阪府宅地建物取引業協会、全日本不動産協会 大阪府本部)の入会金などを合わせた形で示されています。新規に本店で入会する場合の例です。
全国宅地建物取引業保証協会 大阪本部(大阪府宅地建物取引業協会)
- 大阪府宅地建物取引業協会の入会金:60万円
- 保証協会の入会金:20万円
- 弁済業務保証金分担金:60万円
- 合計:140万円(別途、初年度の月割りの会費がかかります)
不動産保証協会 大阪本部(全日本不動産協会 大阪府本部)(令和8年4月1日現在の公開ページ)
- 全日本不動産協会:入会金465,000円(入会金減額キャンペーン適用で315,000円)、年会費45,000円
- 不動産保証協会:入会金80,000円、弁済業務分担金600,000円、年会費9,000円
- 全国不動産協会:入会金75,000円、年会費15,000円
- 入会諸費用の合計:1,139,000円(全日本不動産協会の入会金を減額キャンペーン価格で計算した金額)
- 従たる事務所(支店)の入会諸費用の合計:850,500円。別途、従業者会費6,000円の記載があります。
入会金の金額やキャンペーンの有無は、時期によって変わります。上記は記事作成時点で確認できた公開情報です。加入を検討するときは、必ず各協会の最新の入会費用のページで確認してください。
届出の期限
免許を受けた後、営業保証金の供託、または保証協会への加入をしたうえで、その届出をしなければ、事業を始められません。大阪府の手引では、免許の日から3か月以内に届出をすることとされており、届出がないと免許が取り消されると書かれています。法令上も、免許から3か月以内に届出がない場合は催告があり、催告から1か月以内に届出がなければ免許の取消しの対象になります。保証協会への入会には、書類の準備や手続きの期間が必要になるため、免許申請の段階から協会へ確認しておくと、免許交付から営業開始までの空白期間を短くできます。
どちらを選ぶか
金額だけを見ると、保証協会に加入するほうが、営業を始める時点で用意する資金は少なくなります。ただし、協会に入会すると、年会費などが継続してかかります。営業保証金は、廃業などの場合に取り戻せます。支店を出すときの追加額は、営業保証金では500万円、保証協会では分担金30万円です。
大阪府の資料には、営業保証金と保証協会のどちらを選ぶべきかについての記載はありません。事業の規模、支店の予定、手元資金、協会のサービス内容などを踏まえて、事業者ご自身が判断することになります。営業保証金を供託している事業者が、あとから保証協会に加入した場合は、供託していた営業保証金を取り戻す手続きがあります。免許の標準処理期間などは宅建業免許(新規)の申請完全ガイドで解説しています。事務所の形態は宅建業免許の事務所要件、専任者については専任の宅地建物取引士とはをご覧ください。
よくある質問
保証協会に加入せず、営業保証金だけで開業することはできますか?
できます。営業保証金を供託するか、保証協会に加入するかのいずれかを済ませ、その旨を届け出ればよく、どちらを選ぶかは事業者が決められます。ただし営業保証金は主たる事務所で1,000万円と高額になるため、開業資金を抑えるために保証協会へ加入する事業者が多くなっています。
事務所を増やす場合、保証金はいくら必要ですか?
営業保証金の場合、従たる事務所(支店)1か所につき500万円が追加で必要です。保証協会に加入している場合は、弁済業務保証金分担金として、従たる事務所1か所につき30万円を納付します。協会の入会金や年会費は別に必要です。
保証協会はどこを選べばよいですか?
保証協会には、公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会と、公益社団法人不動産保証協会の2つがあります。入会金や年会費、研修や相談サービスなどは協会ごとに異なるため、開業計画に合わせて、加入前に両方の内容を比較することをおすすめします。
営業保証金を供託した後で、保証協会に切り替えることはできますか?
できます。営業保証金を供託している事業者が保証協会に加入した場合は、供託していた営業保証金を取り戻す手続きがあります。将来的に資金に余裕ができてから見直す、という選び方も可能です。
開業資金の計画から、保証協会の選び方まで、まとめて相談できます
営業保証金と保証協会のどちらが自社に合うか、開業スケジュールに合わせて整理します。
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