結論

宅建業の免許換えは、事務所の新設・移転・廃止によって、免許の区分(国土交通大臣免許か、どの都道府県の知事免許か)が変わるときに必要な手続きです(宅建業法第7条)。免許権者(都道府県知事)が変わらない、同じ都道府県内の移転は、免許換えではなく変更届です。

申請は現在の免許の有効期間内に、新しい免許権者へ行います。新しい免許を受けると、従前の免許は自動的に失効するため、廃業届は不要です。免許換えが必要かどうか分からない段階でも、ご相談いただけます。

免許換えが必要なのは、この3つの場合

宅建業法第3条により、事務所が一の都道府県内のみにある場合はその都道府県知事、二以上の都道府県にある場合は国土交通大臣の免許が必要です。事務所の状況が変わって、この区分が変わるときが、免許換えの対象です(宅建業法第7条第1項)。

現在の免許予定される事由免許換え後の区分
国土交通大臣事務所の廃止・移転により、一の都道府県のみに事務所を有することになる廃止・移転後の事務所が所在する都道府県知事
都道府県知事事務所の移転により、他の一の都道府県のみに事務所を有することになる移転後の事務所が所在する都道府県知事
都道府県知事事務所の新設により、二以上の都道府県に事務所を有することになる国土交通大臣
同じ都道府県内の移転・支店の新設は、免許換えではありません。免許権者が変わらないため、事務所の所在地の変更などを、変更後30日以内に変更届で届け出ます(宅建業法第9条)。実際の手続きは、移転前後の事務所の構成や営業の状況で異なる場合があるため、判断に迷うときは免許権者に確認してください。

宅建業の免許換えとは?

知事免許と大臣免許の違い・代表的なケース

免許換えとは、国土交通大臣または都道府県知事の免許を受けて宅建業を営む方が、事務所の新設・移転・廃止により、引き続き切れ目なく宅建業を営もうとする場合に、現在の免許権者から他の免許権者へ免許を変更する手続きです(大阪府の案内)。新しい免許を受けると、従前の免許は効力を失います(宅建業法第7条第1項)。

  • 知事免許:事務所が一の都道府県内のみにある場合。その事務所の所在地を管轄する都道府県知事の免許です。
  • 大臣免許:事務所が二以上の都道府県にある場合。国土交通大臣の免許です(申請は、近畿の場合は近畿地方整備局など)。

代表的なケースは、①大阪府から他の都道府県へ本店を移す、②大阪府知事免許の事業者が他府県に支店を出す、③大臣免許の事業者が事務所を整理して一の都道府県のみになる、の3つです。

どのような場合に免許換えが必要?

移転・複数府県への事務所設置・廃止/判断が難しいケース
状況免許換え手続き
同じ都道府県内で事務所を移転不要変更届(変更後30日以内)
他の一の都道府県へ事務所を移転(知事免許)必要移転先の都道府県知事へ免許換え
他の都道府県に事務所を新設し、二以上の都道府県になる必要国土交通大臣へ免許換え
大臣免許の事業者が、一の都道府県のみになる必要その都道府県知事へ免許換え
大臣免許のまま、事務所の数や場所が変わる(二以上の都道府県のまま)不要変更届

判断が難しいケース:次のような場合は、免許換えが必要か、新規の免許申請になるかなどを、事前に免許権者へ確認します。

  • 他の都道府県の拠点が、宅建業の「事務所」に当たるか分からない(案内所など、事務所以外の場所の扱い)
  • 個人事業から法人にするなど、免許を受ける者そのものが変わる(一般に、申請者が別になる場合は免許換えではなく、新規の申請の問題になります)
  • 事務所を廃止してから新設するまでに、期間が空く

免許換えの申請先はどこ?

知事→知事/知事→大臣/大臣→知事・申請先の確認方法
免許換えの内容申請先
都道府県知事 → 他の都道府県知事移転先の都道府県の窓口(大阪府へ換える場合は大阪府)
都道府県知事 → 国土交通大臣本店の所在地を管轄する地方整備局(大阪府知事免許からの場合の大阪府の案内。近畿の場合は近畿地方整備局)
国土交通大臣 → 都道府県知事移転後の事務所が所在する都道府県(大阪府へ換える場合は大阪府)

申請先の確認方法:移転後(新設後)の事務所の所在地と数から、免許権者を決めます。大阪府へ免許換えを申請する場合は、事前に、建築振興課 宅建業免許グループへ、メールまたは電話で「免許換え申請」の予約をするよう案内されています(電話 06-6941-0351(内線3077・3078))。大阪府以外の都道府県は、各都道府県の宅建業免許の担当窓口の案内に従います。

大臣免許の申請書類は、近畿地方整備局へ提出します(郵送、またはオンライン)。申請の方法は、改定されることがあるため、申請前に最新の案内を確認します。

免許換えの必要書類

新規と同様の書類・法人と個人の違い・確認事項

大阪府の資料では、免許換えの申請書類は、新規の免許申請と同様です。ただし、宅建業経歴書(添付書類)には、現在の免許での業績を記入します。

  • 申請者に関する書類:免許申請書、連絡先調書、略歴書、経歴書、納税証明書、誓約書、法人は履歴事項全部証明書・決算書など、個人は住民票の抄本・資産の状況を示す書面など
  • 専任の宅地建物取引士に関する書類:専任性確認書類、専任の宅地建物取引士設置証明書、従事者名簿、取引士証の写しなど
  • 事務所に関する書類:事務所付近の地図、事務所の写真・間取図、事務所を使用する権原に関する書面

官公署が発行する証明書は、申請日前3か月以内に発行されたものが必要です(大阪府の案内)。役員や政令使用人、専任の宅地建物取引士ごとに必要な書類が異なるため、人ごとに洗い出して整理します。詳しい書類の一覧は宅建業免許の新規申請で必要な書類で解説しています。

追加の資料が必要になるケース:事務所の形態(賃貸ビル、自宅兼用、レンタルオフィスなど)に応じた資料や、書類の記載内容の確認のための資料を求められることがあります。様式や添付書類は改訂されるため、必ず申請先の最新の手引き・様式を確認してください。

免許換えの手続きの流れ

現状の確認から、申請・審査・免許の通知まで
  1. 現状の確認:現在の免許の区分・免許番号・有効期間と、移転・新設後の事務所の構成を整理します。
  2. 要件・申請先の確認:移転先の事務所が事務所の要件を満たすか、専任の宅地建物取引士を置けるかを確認し、新しい免許権者を決めます。
  3. 必要書類の準備:新規の免許申請と同様の書類をそろえます(宅建業経歴書には現在の免許での業績を記入)。
  4. 申請:新しい免許権者へ、現在の免許の有効期間内に申請します。大阪府へ申請する場合は、事前に予約します。
  5. 審査・免許の通知:審査を経て、免許が通知されます。移転元の免許権者へは、事務所の移転などに係る変更届を提出します(大阪府の資料の流れ図)。
  6. 営業開始・継続にあたっての確認:営業保証金(または保証協会の分担金)、標識や書類の記載の更新を確認します。

大阪府では、免許換えのオンライン申請(eMLIT)も受け付けています。大阪府へ換える場合の申請の種類は「免許換え新規」です(2026年10月24日確認)。

免許換えにかかる期間と費用

審査期間の考え方・申請手数料・行政書士報酬との違い
項目内容
審査期間大阪府は、免許申請(新規・更新)の審査期間を「申請受付後、約5週間」と案内しています。免許換えの標準処理期間は、免許権者ごとに若干異なります(大阪府の資料)。補正に要した期間は含まれません。大臣免許(近畿地方整備局)は、基本的に新規の免許申請と同様で、標準処理期間は90日です(申請が整備局に到達した日の翌日から起算。補正に要した期間は含まれません)。
申請手数料(大臣免許)登録免許税 90,000円(大阪府の資料。新規の免許申請と同額)。納付済みの登録免許税の納付書を、申請書に添えて提出します。
申請手数料(大阪府知事免許)免許換えは、新規の免許申請と同額で、33,000円です(電子申請は26,500円。大阪府の手数料ページの新規の金額)。納付方法は、予約の際に大阪府に確認してください。
他の都道府県の知事免許手数料の納付方法は、都道府県ごとに異なります(大阪府の資料)。各都道府県へ確認してください。

行政書士報酬と、行政庁に支払う費用は別です。手数料や登録免許税は、行政庁へ納める法定の費用です。行政書士に依頼する場合は、これに加えて報酬がかかります。報酬は、事務所の構成や書類の準備状況で異なるため、ご相談の際に事前にお見積りをご案内します。

申請前に確認しておくこと:移転の予定日から逆算した申請の時期、現在の免許の有効期間の残り、保証金の手続きにかかる期間、書類の準備にかかる時間。更新の時期と重なる場合は、日程を一緒に組みます。

免許換えで注意すべきポイント

従前の免許との関係・保証金・専任宅建士・免許番号・変更届

現在の免許と新しい免許の関係

  • 新しい免許を受けると、従前の免許は自動的に失効します。廃業届は必要ありません(大阪府の資料)。
  • 免許換えの審査中に免許の有効期間が切れても、審査期間中は免許の期限が延長されたものとみなされます(宅建業法第7条第2項、第3条第4項)。
  • ただし、審査中に従前の免許の有効期間を経過し、他の都道府県や大臣で免許が拒否された場合は、大阪府知事免許の更新はできず、免許は失効すると、大阪府の資料に記載があります。更新の時期が近い場合は、免許権者に事前に確認します。

営業保証金・弁済業務保証金分担金

免許換えの内容営業保証金弁済業務保証金分担金
知事免許 → 大臣免許本店の所在地を管轄する供託所に、追加で供託する追加で納付する
知事免許 → 他の都道府県の知事免許「金銭のみ」の場合は、現在の供託所へ、移転後の供託所への保管換えを請求する。「有価証券のみ」または「有価証券と金銭」の場合は、移転後の供託所に新たに供託したうえで、前の供託所から取り戻す(公告は不要)加入している保証協会に確認する
大臣免許 → 知事免許現在の供託所から、廃止した事務所分を取り戻す(公告が必要)加入している保証協会に確認する

保証金の手続きは、供託や加入の状況で変わります。詳しい仕組みは営業保証金と保証協会の違いで解説しています。

専任の宅地建物取引士・事務所の要件

移転先・新設先の事務所が、事務所の要件を満たしていることと、専任の宅地建物取引士を置けることが前提です。免許換えでも、新規の免許申請と同様に、これらの要件を満たす必要があります。事務所要件と専任の宅地建物取引士を、移転前に確認してください。

免許番号・取引関係書類

免許換え後は、新しい免許番号(カッコ内の更新数字は「1」)になります。標識(業者票)、広告、重要事項説明書や契約書など、免許番号を記載しているものは、新しい番号に改める必要があります。標識は、事務所ごとに公衆の見やすい場所に掲げることが求められています(宅建業法第50条第1項)。切り替えの時期や記載の扱いは、免許権者の案内に従います。

変更届など、免許換え以外の手続き

移転元の免許権者へは、事務所の移転などに係る変更届を提出します(役員等に変更のない、従たる事務所の他都道府県への新設は、変更届が不要とされる場合があります。大阪府の資料)。代表者・専任の宅地建物取引士などの変更届は、宅建業者の変更届で整理しています。免許換え後も、5年ごとの更新が必要です。

自分のケースで免許換えが必要か分からない段階でも、ご相談いただけます。事務所の移転・新設の予定を伺い、必要な手続きを整理します。

免許換えが必要か相談する

免許換え・変更届・更新の違い

手続き当てはまる場面時期
免許換え事務所の新設・移転・廃止で、免許の区分(大臣免許か、どの都道府県の知事免許か)が変わる現在の免許の有効期間内に、新しい免許権者へ申請
変更届商号、代表者、役員、専任の宅地建物取引士、事務所の所在地などが変わる(免許の区分が変わらない場合)変更後30日以内(宅建業法第9条)
更新免許の有効期間(5年)が満了する満了日の90日前から30日前まで

免許換えに関するよくある質問

免許換えの申請先はどこですか?

新しく免許を受ける免許権者です。他の都道府県へ移転する場合は移転先の都道府県知事、二以上の都道府県に事務所を持つことになる場合は国土交通大臣(大阪府知事免許からの場合は、本店の所在地を管轄する地方整備局)に申請します。大臣免許から大阪府知事免許へ換える場合は、大阪府に申請します。

同じ府県内で事務所を移転した場合も、免許換えが必要ですか?

免許権者(その都道府県知事)が変わらないため、免許換えは不要です。事務所の所在地の変更として、変更後30日以内に変更届出書を免許権者に提出します(宅建業法第9条)。移転先が事務所の要件を満たしているかは、移転前に確認します。

免許換えの申請中も、営業できますか?

免許換えは、現在の免許の有効期間内に申請します。新しい免許を受けるまでは、従前の免許が有効です。申請中に従前の免許の有効期間が満了しても、処分がされるまでの間は、従前の免許は効力を有するとされています(宅建業法第7条第2項、第3条第4項)。ただし、他の都道府県や大臣で免許が拒否された場合は、大阪府知事免許の更新はできず失効すると、大阪府の資料に記載があります。更新の時期が近い場合は、事前に確認します。

免許換えには、どのくらいの期間がかかりますか?

大阪府は、免許申請(新規・更新)の審査期間を、申請受付後約5週間としています。近畿地方整備局(大臣免許)の標準処理期間は90日です。免許換えの審査期間は免許権者ごとに若干異なります(大阪府の資料)。補正が必要な場合や、免許後の保証金の手続きの期間は、別にかかります。

免許換えの際に、免許番号は変わりますか?

変わります。大阪府の資料では、免許換え後の免許証番号は新しい番号となり、カッコ内の更新数字も「1」になるとされています。免許換え後の免許の有効期間は5年です。

免許換えと変更届は、何が違いますか?

免許の区分(国土交通大臣免許か、どの都道府県の知事免許か)が変わるかどうかで分かれます。区分が変わる場合は免許換え(新しい免許権者への申請)、区分が変わらない場合は変更届(免許権者への届出、変更後30日以内)です。

免許換えの手続きを、行政書士に依頼できますか?

はい、依頼できます。免許換えが必要かどうかの確認、申請先の整理、申請書類の作成と提出の手続きを、行政書士が代理して行います。NEO行政書士事務所では、免許換えが必要か分からない段階のご相談も、無料でお受けしています。

出典:宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)(第3条・第7条・第9条・第50条)、大阪府「10 免許換えの手続きについて」(PDF)、大阪府「宅地建物取引業免許の申請等」、大阪府「宅地建物取引業免許申請手数料等の納付について」、大阪府「宅地建物取引業者の免許換えのオンライン申請について」、国土交通省近畿地方整備局「宅地建物取引業の免許申請・変更届等」。2026年10月24日に確認した内容です。大阪府の「免許換えの手続きについて」は令和6年5月25日版の資料で、申請方法・手数料・様式は改訂されることがあります。

※本記事は宅建業の免許換えに関する一般的な情報を目的としたものです。要件・必要書類・費用・審査期間・運用は変更されることがあり、事務所の構成や営業の状況など、個別の事情によっても異なります。申請の際は、必ず新しい免許権者(大阪府、他の都道府県、近畿地方整備局など)と、加入している保証協会の最新の案内をご確認ください。

免許換えが必要か分からない段階でも、ご相談ください

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