宅建士の合格を機に、不動産会社として独立することを考える方は少なくありません。ただし、宅建士の資格だけでは、宅建業を始められません。開業には、宅建業の免許・専任の宅地建物取引士・事務所・保証金の4つの準備が必要です。

この記事は、合格後の資格登録の次の段階として、大阪府で宅建業を開業するまでの全体像を、期間と費用の目安とあわせて整理します。資格登録と宅建士証の交付は、宅建試験の合格後:大阪府の宅建士登録から宅建士証の交付までで解説しています。内容は2026年10月20日時点です。

宅建士の資格と、宅建業の免許は別のもの

  • 宅建士:試験に合格し、資格登録を受け、宅建士証の交付を受けた「個人」の資格です
  • 宅建業の免許:宅建業を営もうとする「事業者」(会社や個人事業主)が受ける免許です(宅建業法第3条)

宅建士の資格を持っていても、免許を受けずに、売買や貸借の代理・媒介などを業として行うことはできません。一方、免許を受けた事業者は、事務所ごとに、専任の宅地建物取引士を置く必要があります(宅建業法第31条の3)。つまり、「宅建士の資格」は、開業の入口の準備の1つで、それだけで開業できる資格ではありません。

開業に必要な4つの準備

1. 宅建業の免許

大阪府内だけに事務所を置く場合は、大阪府知事免許を申請します。大阪府の手数料は、書面申請で33,000円、電子申請(eMLIT)で26,500円です。標準の審査期間は、申請を受け付けてから約5週間で、補正の日数は含まれません。詳しくは宅建業免許(新規)の申請完全ガイドで解説しています。

2. 専任の宅地建物取引士

事務所ごとに、従業者5人に1人以上の割合で、専任の宅建士が必要です。専任とは、常勤で、専らその事務所の業務に従事することです。他社の役員や従業員を兼ねている方は、専任として認められません。免許の申請では、専任宅建士の宅建士証の写しが必要で、有効期間が切れていると受付されません。つまり、合格後すぐには免許を申請できず、まず資格登録と宅建士証の交付を受ける必要があります。行政書士などとの兼業を考える場合は行政書士をしながら専任宅建士になれるか、専任として認められないケースは専任宅建士が認められないケースで整理しています。

3. 事務所

事務所は、継続的に業務を行うことができ、他社や住居部分から独立している必要があります。申請の時点で、電話が開通し、事務机などが設置された、営業できる状態であることが求められます。自宅やレンタルオフィスを事務所にできるかは、条件によって判断が分かれます。契約の前に、宅建業免許の事務所要件について、自宅を宅建業の事務所にできるか、レンタルオフィスで宅建業免許は取得できるかを確認してください。

4. 保証金(営業保証金または保証協会への加入)

免許を受けたあと、営業保証金を供託するか、保証協会に加入して分担金を納めるか、いずれかを済ませ、届け出なければ、営業を始められません。営業保証金は、主たる事務所で1,000万円です。保証協会の弁済業務保証金分担金は、主たる事務所で60万円で、これとは別に、協会の入会金や年会費などがかかります。免許の日から3か月以内に届出をしないと、免許が取り消される場合があります。違いは営業保証金と保証協会の違いで解説しています。

合格発表から営業開始までの流れと期間の目安

ステップ期間の目安
合格発表(11月25日)実務経験がない方は、登録実務講習の修了が必要
資格登録の申請と審査標準で約5週間(大阪府)
宅建士証の交付の申請申請から1週間〜10日
宅建業免許の申請と審査標準で約5週間(大阪府)
保証協会への入会(または供託)と届出免許の日から3か月以内に届出
営業の開始届出をして、免許証を受け取ったあと

たとえば、12月中旬に資格登録を申請した場合、登録の完了は1月中旬から下旬ごろ、宅建士証が届くのは1月下旬から2月上旬ごろです。そこから免許を申請すると、約5週間の審査を経て、免許が下りるのは3月中旬ごろになります。保証協会の入会手続きの期間と、書類の不備の補正の日数は含まれていないため、営業の開始は、早くても3月下旬から4月ごろが目安です。実際には、これより延びることがあります。

このうち、資格登録の審査と宅建士証の交付を待つ間に、並行して進められる準備があります。法人で始める場合の設立、事務所の確保(契約前に要件を確認)、保証協会の選定、資金の用意、書類の準備などです。最初から全部を待つのではなく、並行して進めると、開業までの期間を短くできます。開業準備の順番は、大阪府で宅建業を始めるときの準備で、8つのステップに整理しています。

費用の目安

項目金額備考
資格登録の手数料37,000円大阪府に納付
宅建士証の交付手数料4,500円合格後1年以内の申請なら、法定講習は不要
免許申請の手数料33,000円電子申請は26,500円
保証協会に加入する場合100万円台の例分担金60万円+入会金など。協会ごとに異なる
営業保証金を供託する場合1,000万円主たる事務所。のちに取り戻せる
事務所の費用・法人設立の費用実費賃料、設備、登記の費用など

保証協会の入会費用は、協会と時期によって異なります。大阪の協会が公開している例では、新規に本店で入会する場合に、合計で、約114万円から140万円とされています。最新の金額は、各協会のページで確認してください。行政書士に免許申請を依頼する場合は、別途、報酬がかかります(当事務所の宅建業免許の新規申請は、88,000円からです)。

法人か個人か

宅建業の免許は、法人でも個人でも申請できます。ただし、個人の免許は、法人が引き継ぐことも、相続することもできません。個人で始めて、のちに法人にする場合は、法人として免許を取り直し、保証金の手続きもやり直します。始め方によって、将来の手間が変わるため、最初に決めておく必要があります。詳しくは、宅建業免許は法人と個人どちらで取るか、法人設立と宅建業免許の準備の順番で整理しています。

開業か、まず勤務して経験を積むか

宅建士の資格の活かし方は、開業だけではありません。次のような点を整理して、ご自身に合う選択を考えてください。

  • 事務所の費用と、保証金の資金を、用意できる見通しがあるか
  • 専任の宅建士として、常勤で業務に従事できるか(他社に勤務したままでは、専任になれません)
  • 取引の経験や、取引先・集客の見通しがあるか
  • 宅建業法を守る体制(重要事項の説明、帳簿・従業者名簿の備え付け、掲示物など)を、整えられるか

経験や資金に不安がある場合は、不動産会社に勤務して、実務を学んでから開業するという選択もあります。なお、実務経験がなくても、登録実務講習を修了すれば、宅建士の資格登録は受けられます。

注意したいのは、他人の免許の名義だけを借りて営業することです。名義貸しは、宅建業法で禁止されており、業務停止や免許の取消しなどの対象になります。詳しくは宅建業の名義貸しはなぜ禁止かをご覧ください。

合格発表の前後に、先に動けること

  • 事業計画(扱う取引の種類、資金の見通し)を整理した
  • 法人で始めるか、個人で始めるかを決めた
  • 事務所の候補を探し、契約する前に、事務所の要件を確認した
  • 保証協会に加入するか、営業保証金を供託するかの方針と、資金を決めた
  • 実務経験がない場合は、登録実務講習の日程と予約の可否を確認した
  • 専任の宅建士として、常勤で働ける時期(他社に勤務している場合は、退職の時期)を整理した
  • 資格登録から営業開始までの、全体のスケジュールを逆算した

NEO行政書士事務所でできること

当事務所では、資格のあとの開業について、スケジュールの逆算、事務所と専任宅建士の事前診断、免許申請書類の作成、保証協会の手続きのご案内までを、まとめてサポートしています。宅建業の手続き全体は宅建業の総合ガイドにまとめています。開業を考え始めた段階でも、NEO行政書士事務所にご相談ください。

出典:宅地建物取引業法第3条・第31条の3(e-Gov法令検索)、大阪府「宅地建物取引業免許申請手数料等の納付について」「新規申請に必要な書類」「宅建業免許の申請等についてよくあるお問い合わせ」「宅地建物取引士の新規登録申請について」。保証金・保証協会の費用は、当事務所の営業保証金と保証協会の違いに、各協会の公開情報をまとめています。2026年10月20日に確認した内容です。

※本記事は宅建業の開業に関する一般的な情報を目的としたものです。手続き・手数料・必要書類・日程・保証協会の費用は変更されることがあり、個別の状況によっても異なります。申請の際は、必ず大阪府および各保証協会の最新の案内をご確認ください。期間の目安は、書類の不備や保証協会の手続きの期間を含まない参考の例です。

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